第六章 宮島旅

広島に赴任して、はや3か月。

引っ越してから地元の神社にはお参りしていたが、そういえば宮島にはまだ行っていなかった。

「そのうち行こう。」

そう思いながら日々を過ごしていたが、出雲大社で心の中の悲壮感が消えた今、宮島にある厳島神社、そして以前から気になっていた清盛神社に行ってみたいと、朝一番のフェリーで宮島へ向かった。

朝の宮島は人もまばらで、とても静かだった。

厳島神社の建物や大鳥居をゆっくり眺めながら参拝する。

今思えば「あそこが本殿だったんだな」と思う場所に、何も知らず適当に手を合わせていた。

そのまま目的地である清盛神社へ向かう。

途中、小さな丘のような場所を歩いていると、どこか香水でも嗅いだことがあるようなウッディーな香りがふわっと漂ってきた。

「ええ匂いやな。」

思わず鼻をクンクンさせながら歩いたのを今でも覚えている。

清盛神社では、

「何でも一生懸命頑張ります。」

そう心に誓って参拝した。

続いて大聖院へ。

私は浄土真宗なので、「なんまいだー」と手を合わせ、

「ご先祖さま、私は広島で頑張ります。」

そう報告した。

その後、大聖院を下り、宮島水族館へ。

チンアナゴがあまりにも可愛くて、しばらく穴が開くほど眺めていた。

気付けば時計は昼の12時を回っていた。

大願寺へ向かう前に、もう一度あのウッディーな香りを嗅ぎたくなり、朝通った道を歩いてみた。

しかし昼になると、人も車も増え、漂っていたのは車の排気ガス。

朝あれほど心地よかった香りは、跡形もなく消えていた。

少し残念な気持ちになりながら、大願寺へ向かった。

すると朝とはまるで別世界。

静まり返っていた商店街も厳島神社も、人で溢れ返り、笑い声や話し声が飛び交っていた。

「あの厳かな雰囲気は一体どこへ行ったんや?」

朝と昼で、まるで違う場所へ来たような不思議な感覚だった。

大願寺では、護摩業の時に焚べる板に願い事や悩みを書くところがあった。

何を書こうか。

そう考えた時、真っ先に浮かんだ言葉があった。

「再起奮闘」

「七転び八起き」も頭に浮かんだ。

でも、それは願いじゃないしな。

ということで、「再起奮闘」に決めた。

心を込めて書きながら、

「我ながら下手くそな字だな。」

と思いつつ、願いを託した。

その後フェリーで本土へ戻り、その足で予約していた床屋へ向かい、長く伸びていた髪をバッサリ切って短髪にした。

アパートへ帰る頃には、何でも吹っ切れていた。

「俺、やったるぞ!」

そんな気持ちになっていた。

ダイエットも徹底的にやる。

腹筋割ったる!

そう決意したのも、この日だった。

後で宮島旅で撮った写真を見返すと、清盛公の銅像の写真が道を開いた!さあ進めと言われてるように思えた。

それからは、ダイエット、家計簿、食事、筋トレ、睡眠。

細かく記録して、改善を繰り返す毎日が始まった。

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